なぜ中小企業で成果主義の人事制度が失敗するのか

中小企業診断士という資格があります。

国家資格なので、試験があります。試験ですので、合格するための傾向と対策があります(それを商売にする人も勿論います)。


成果主義の人事制度を入れた場合は、「人事評価の公平性・透明性・納得性を確保するべし」という鉄板の解答があります。これを外しては得点を得られない、という事ですね。


試験ですので、原理原則を知っているかを試されます。そして試験合格後に経営コンサルタントを志すならば「原理原則と現実は違う」という事も知る必要があります。


◆公平な人事評価は存在しない

そうです。存在しません。評価する側が神様でもない限り。
ただ一方で、公平が存在しない事を理解した上で公平に近づける努力が必要、ということですね。



さて、ようやく本題です。


支援先の中小企業で人事制度の構築をしました。

気の荒い男性が多い職場です。人事制度の内容や実際評価された後など、異論がありました。しかも結構キツイ言い方で。


異論があるのはいいのですが、そうであるならば代替案を出せと私は(社長を通じて)伝えました。

それから社長には従業員に対して「公平性は重要視するが、全員が納得できる公平な人事評価は存在しない」ことを言明してもらいました。だからより良い制度にするために見直しは定期的に行う、という宣言です。


そして、評価される側にこれを理解させることは、とても重要です。


◆ゲームのルールを理解させる

従業員は評価される側です。
公平性が幻想であると理解できた場合、思考は「どうすれば自分は評価され組織の中で抜きんでられるのか」に向きます(それを望む者であれば)。


ですので、ゲームのルールを理解させることは、従業員に経営者の望む結果を出してもらう上で重要です。


この会社の場合、成果主義導入の目的は「個人別の売上を上げる事」、そして「費用を抑える事」でした。

売上を上げるためには、訪問先での接客と評判が大切であること。そしてそれを訪問先の顧客に評価してもらう事。これらが従業員の行動に求められます。そしてここまで落とし込めれば、従業員のやる事は明らかですよね。これがゲームのルールを理解させるという事です。


さて、そもそもなのですがこの支援先は「成果主義が上手く行かない」というお悩みでした。


そりゃそうです。成果で評価されていなかった従業員たちに、会社の都合で新しいルールを押し付けるわけですから。上手く行くわけがありません。だからこそ、上手く行かない前提で準備をする必要がありました。



最初から準備していればよかったのですがうまくいかなくなってから呼ばれたので、行ってみたら「ノーアウト満塁」の状態でした。まあ慣れていますけど…。


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