値上げ交渉での「お断りワード」にはどう対処する?突っ込まれたらこう答えろ!
値上げ交渉の場で、取引先企業があらゆる手を尽くして値上げに対して反対してくることはよくあります。価格転嫁を提案する側としても、相手の理解を得られずに交渉が進まない状況は悩ましいものです。しかし、こうした「お断りワード」に対してどう対応するかを押さえておけば、交渉を有利に進めることが可能です。今回は、取引先が値上げを認めたくない理由とその対応策について解説します。
よくある「お断りワード」とその真意
取引先企業が値上げを認めない理由は、自社の利益を守りたいからです。交渉相手は、値上げを飲まないためにあの手この手でこちらの提示にツッコミを入れてきます。例えば、以下のような発言が考えられます。
- 「資材価格高騰は世間相場であり、御社の相場がわからない」
- 「人件費高騰は世間相場であり、御社の賃上げ幅がわからない」
- 「賃上げは御社の都合であり当社が引き受ける理由は無い」
- 「生産性向上などコストダウンの努力が見られない」
- 「他社に対しても値上げをしている前例はない」
こうした発言には、値上げに対する反対の意思が込められています。これらの「お断りワード」に丁寧に回答するのも一つの方法ですが、次々と新しい反論が出てくる可能性が高いため、交渉のステージを変えることが重要です。
「上司の意向確認」を求める対応策
交渉相手があまりにも「お断りワード」を連発してくる場合、こちらがどれだけ原価計算データや価格転嫁支援の情報を提示しても、平行線が続く可能性があります。そのようなときに使える対策が、「上司の意向確認」を求める対応です。
例えば、以下のように伝えてみましょう。
「当方からデータを提示してもご理解いただけない様であれば仕方ないです。あなたの上司も同じお考えでしょうか。そうであれば一度ご本人からご意向をお聞きしたい。」
こうすることで、経営改善に必要な価格転嫁の意義を、より権限のある相手に直接伝える機会を得られる可能性が高まります。中小企業診断士や経営コンサルタントとしての視点からも、このアプローチは効果的です。より上位の職位に交渉を引き上げることで、双方にとって有益な落としどころが見つかりやすくなるでしょう。
上位職と交渉する際のポイント
取引先の上位職位との交渉に進む場合、次の点を押さえておくことが重要です。
- データの新規性を保つ
同じデータを繰り返し提示するだけでは、上位職位の交渉相手にも新たな価値を感じてもらえません。上位職には、より詳細で影響力のあるデータを提示するように準備しましょう。具体的には、自社が取り組んできたコストダウンの努力やコスト削減の経歴など、新しい資料や過去の経緯を交えて話すと効果的です。 - 交渉のフレームを再構築
新しい交渉相手と話す場合、過去の議論の流れを引きずらないことも大切です。改めて価格転嫁の理由や背景を説明し、双方にとってのメリットや長期的な関係維持をアピールしましょう。 - 妥協点をあらかじめ準備する
上位職との交渉では、相手も高い権限を持っているため、ある程度の譲歩も必要です。事前に自社として許容できる妥協点を明確にしておくことで、交渉の幅を持たせることができます。
「お断りワード」に流されず、交渉を前進させよう
取引先が交渉に難色を示してくる場合、それに振り回されることなく、権限のある相手と交渉を進める準備をすることが重要です。交渉担当者が値上げに応じない場合でも、上司の意向を確認する流れを作ることで、交渉のステージが変わり、柔軟な対応が可能になります。交渉には柔軟性と粘り強さが求められますが、経営コンサルタントとしての専門的な視点からの提案やデータ提示で、価値をしっかりと伝えることが大切です。
まとめ
値上げ交渉の場面では、「お断りワード」が頻繁に飛び出すこともありますが、丁寧な対応だけでは打開が難しいこともあります。交渉相手がデータを受け入れない場合、上位の職位との交渉にシフトし、新しいデータや柔軟な妥協点を提示しながら、進展を図ることが重要です。価格転嫁の成功には、このような戦略的な交渉が欠かせません。