人材にまつわること長い目で見なければ…
私は中小企業診断士という資格をもって経営コンサルタントをしています。
目先の損得でビジネスをしないことは、私が大切にしているルールの1つです。
そして『人材』のことも、目先の損得で考えると上手くいかない場合が多いです。
先日、こんなお話がありました。
雇用調整助成金って会社に何の得があるの?
先日お邪魔した企業で社長がこのような事を仰っていました。
牧野さん、雇用調整助成金って会社に何の得があるの?
うーん、『目先のことしか考えない発言だな~』
と思ったのですが、さすがにそこまではっきりとは言えなかったので、こうお話してみました。
『休業補償をして従業員の満足度を上げるためにあるんです(本来休業補償6割は雇用主の義務なのですが)。
確かに目先を考えると、申請の手数料を社会保険労務士に払ったりして会社の持ち出しになります。
休業分の給与も会社が一時立て替えして従業員に払わなければいけません。
でもこうした目先の費用や立て替えがあったとしても、申請するべきです。
なぜなら人材は直ぐに育ちませんし、育った人材が抜けられるとすぐには替えが効きかない場合も多いです。
だから、人材に関することは長い目で見なければいけません。
私のこのお話が、社長さんにとっては納得いったようでした。目先の費用で損得勘定をしていた自分に気づいた様子でしたので。
人手不足は雇う側の商品力不足
雇用調整助成金を申請して休業補償をしてくれない会社は、従業員(パート・アルバイト)の満足度がさがります。
自分たちを守ってくれない会社に対して満足するわけがありません(そうですよね)。
こうした従業員が辞めて行った末に『人材不足』『募集しても人が来ない』とぼやく経営者がいらっしゃいます(いや本当に)。
でもそれは、従業員に対して御社の『商品力』が不足しているからなんですよ。
雇われる側が価値を感じる商品力が御社に無ければ、従業員満足度は上がりませんよね。
従業員の満足度を上げるために、どんなことをしましたかね?
と私は遠回しに聞いてみます。
最低でも従業員が、ご自身の家族や親せきや友達のような近しい人に『うちの会社はいろいろ言いたい事はあるけど、まあまあいい会社だよ』と言える会社でなければ、人なんて集まってきません。
勿論、ひとはそれぞれ違います。
従業員全員を等しく満足させることはほぼ不可能です。
しかしその努力をせずに『新しい人が来ない』と言っている経営者さんには、是非とも足下を見直して頂く事をお勧めしています。
いつだれが辞めても絶対に困らない会社にする
一方で、中小企業は宿命的に人が辞めていきます。とくに転職先に困らないような優秀な人ほど。
機械工具の卸売で東証一部上場をしているトラスコ株式会社という企業があります。
その会社の中山哲也さんという社長さんが、雑誌のインタビューでこのようなことを仰っていました。
そもそも業界最後発の当社にはろくな人が集まらなかったし、せっかく育ってきたと思ったら「辞めます」と(笑)。
-中略-
いつ誰が辞めると言っても絶対に困らない会社にするために、お客様のご注文に少しでも早く、確実に対応できる仕組み作りに力を注いて、会社の運命をひらいてきたんです。
(『致知』2021年1月号 致知出版社 より)
個人に依存しない仕組みを作る、ということが大切です。
どうやったらそんなことできるんだよ?
と仰る経営者の方は、こんな切り口で考えてみて下さい。
辞められて困る社員はどんな仕事をしていますか?
その仕事が他の人ではできない理由はありますか?
他の人ではできない理由を無くすためにはどんなことが必要ですか?
入門編としてはこんなところですね(これらの質問は、自分がこのテーマで最初のヒアリングで実施するものです)。
社員を辞めさせないための本はたくさんあるが
それにしても『社員を辞めさせない本』というのは多く存在していますが『社員が辞めても困らない仕組みづくり」という本はあまり存在していないようです。
勿論、社員が辞めないのが良いのですが、中小企業で人が辞めていくのは宿命のようなものです。優秀な人ほど、自分の器量いっぱいに働ける場所を探すものですから。
そして経営って最後は人の話になるんですよね。なぜなら企業の多くは、人がお仕事をしているからです。お分かりになりますよね。
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