定着率が低いのは賃金のせいではない
新しい人が定着しない
私は中小企業診断士という資格を持って経営コンサルタントをしています。
最近、再び経営状況の厳しい会社を支援する機会を頂きました。
男性が多く力仕事が多い会社で、社長さんいわく『うちは3Kです』とのこと(3K=きつい、きたない、かっこわるい、のようです)。
その会社さんのお悩みは『売上と資金繰り』に加えて人材定着でした。
『社員が高齢化している、もっとも若い人でも40代』
とのことでした。
実際20-30代の採用を試みたのですが、早ければ1週間、もっても半年で退職していったそうです。
何で辞めるのかな~、と思いながら話を聞いてみると「給料が安いから」「3Kだから」という回答です。
うーん、この考え方では次に新しい人を採用しても同じ結果かもしれませんね。。。
高い給料だせないのはみな同じ
大手と比べて高い給料をだせないのは、中小企業に共通しているお悩みです。
いわば『みなさん同じ』なわけです。
ですので、給与以外の価値を従業員に提供することが大切になります。
この会社さんの場合は『働きやすさ』を一緒に考えてみました。
『働きやすさ』という切り口は、主に家事・育児・介護をしながら働く女性に向けた価値でした。
しかし近年男性従業員に対してもこの価値は高まっています。男性の方はご自身に置き換えてみれば、この点は論を待たないですよね。
この会社さんで聞いてみると…、
以前は従業員の記念日にケーキをプレゼントしていた
とのことです。
そして会社の仕事はとても丁寧で真面目なため、取引先には評価をして頂いています。
従業員さん、現場で良い仕事をしてくださっているのです。うーん、素晴らしい!
そういう従業員さんに喜んでもらえる『働きやすさ』を考えればいいのです。お金を使わずに知恵を使うのです。
そして、社長が社員を大切にしているかどうか、従業員さんにわかりますよね。
これに関連して、過去にこんな記事を書いています。
お金を使わずに知恵を使う
さてこの会社さんですが、具体的にはこんなことをしてみました。
『お休みの計画を先々まで入れて、休暇を取り易くする=会社も計画を立てやすい』
『従業員の誕生日にプレゼントをする』
『終わった現場での取引先の評価を社員に伝える』
こんな対応で社員の意欲を高めましょう、というお話にしました。
さてみなさん、いかがでしょうか?
どれも、さしてお金はかかりませんよね。繰り返しますが『お金を使わず知恵を使う』のです。
ちなみに、これらの具体先は組織論的には「ハーズバーグの二要因論」に即した対応です。
診断士であれば基礎の基礎として抑えています(と思うんですけどね…)。
大切なのは続けること
この会社さん、前述の通り、いつのまにか記念日のケーキを止めてしまいました。
もちろん事情があったとは思います。
でもこうした施策をするときに大切なのは続けることです。そして継続する中で改善することも重要です。
目的は社員が喜んでくれて意欲が高まることです。
その目的が果たせているか、を社長は常に確認しながら継続と改善を進めるのです。
高い給料は(いまは)出せないけれど、社員のことは大切にしてる。
社長のこうした姿勢は、継続すればするほど、ちゃんと伝わるものです。ご本人が思っている以上に。
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