それをお金で買いますか?
タイトルはマイケル・サンデルの著書『それをお金で買いますか? 市場主義の限界』からです。
余談ですが、マイケル・サンデルは『実力も運のうち』も買いました。新刊で買ったの、大きくて重いため、文庫が出たら買い換えようと思っています。
無料の経営相談窓口の満足度
無料の経営相談窓口に座っていると色々な方が相談に来ます。
『無料なので相談員の質は知れている』と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、アンケート結果を見るとそうでもないみたいです。
私が座っている窓口の満足度は全国平均で94%を超えているそうです(満足+やや満足の合計値)。
『相談を受けて気づきがあった』
『具体的な成果が上がった』
というのが満足の背景でした。
いやいや、ありがとうございます。相談を受けている立場からすると、とても有り難いお話です。
無料は安かろう悪かろうか?
さてこのように無料相談が相談者にとって有効なのはどうしてでしょうか?
コストパフォーマンスが高いからだ
と仰る方がおられます。
費用が無料(ゼロ)ですので、ほんのわずかでも効果があれば無限大のコストパフォーマンスになるわけですから、これは正しい指摘です。
この指摘に対しては、無料相談のアンケートに
この相談にいくら払いますか?
という指標があっても良いと思います。
1000円セミナーに参加者がつけた価格
余談ですが、私は中小企業診断士という資格を持っています。
資格試験に合格した翌年に、これから受験をする方々をボランティアで支援をしていた経験があります。
同時は会場費用のみを受講者に負担してもらう参加費1000円の勉強会やセミナーを開催していました。
そのアンケートの中で『このセミナーにいくらまで払えますか?』という質問項目を入れておきました。
回答の平均額は約5,000円でした。
実際の参加費の5倍です。
勿論、値上げすること無く参加費1000円のセミナーを続けたのですが、金銭的な価値はそれ以上だったという事です。
なぜ高く売らないのか
ただし、私(たち)は値上げをすることはしませんでした。
そこにあるのは『自分たちが受験生時代に受けた恩を、次の受験生に送る』という恩送りの精神でした。
参加費を上げて手元に残るお金を増やすことは、その精神を貶める行為です。
当時の私(たち)は高き理想の道を行きたかったのです。
そしてこれが私が前述の相談窓口を続ける大きな理由の1つです
実際私たちは報酬を受け取って窓口で働いているので、私自身は『無料』ではありません。
一方で、その報酬は私の仕事の中で最も少ないもので、二番目に少ない報酬の仕事と比べても、1/3程度の額です。
そうです、世の中『お金だけでは無い』のです。
それを『お金で買ってもらうことがない』環境づくりも大切だと考えています。
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